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【翁の漫画評】87CLOCKERS 二ノ宮知子 81点

 

タイトル:87CLOCKERS

作者:二ノ宮和子

連載期間:2011年6月~連載中 既刊8巻(2016年7月現在)

評価点:81点

あらすじ(wikipedia引用):

一目惚れした美女が虐げられていると思い込んだ音大生の奏(かなで)は、彼女を助けるため、“パソコンのF1レース”と呼ばれるオーバークロックのディープな世界へ足を踏み入れる。

 

ドラマ化もした『のだめカンタービレ』の二ノ宮先生の青年誌作品ということでどんなものかと思っていたが、読んでみて度肝を抜かれた。

OC(オーバークロック)という前例のない超ニッチなジャンルでここまで面白くできるとは…しかも一般にメカに疎いイメージのある女性の作家が…

もうこのくらいの作家になると、テーマなんて何だろうとこれくらいは描けてしまうのだろうか。まったく恐るべき実力である。

『のだめ』でも感じたことだが、この人は恋愛要素とそれ以外の配合が絶妙である。あくまで中心には恋愛を据えつつも、ありがちな少女漫画のように常に恋愛のことしか考えてないような脳内お花畑状態に辟易させられるようなことはない。かと思えば、物語上の重要なエピソードや転換点では、しっかりと恋愛模様を描いてヒキを作ってくる。

また背景世界がリアルベースなので読みやすいんだけど、何気に先の展開はかなり読めない。そして、OCという一般人が知らない世界についても魅力的に描いている。

ヤンジャンで連載していることからもわかるように、男性でも全く抵抗なく読める作品だと思うが、やはり少女漫画らしい部分(というか女性作家的視点?)もあるな、と感じることもあった。

というのも、なんとなーく女性キャラよりも男性キャラのほうが微妙に理想化度合いが高いように感じるのである。私だけかもしれないけど。

簡単に言うと、ヒロインのハナより主人公の奏のほうが魅力的に描かれている気がする。もっと言うとハナって見た目がカワイイこと以外にあんまりいいとこ(描かれて)ない気がする。

ともあれ、どの巻を読んでも安定した面白さがあり、男女ともにお勧めできる作品であることは間違いない。