【翁の漫画評】ザ・ファブル 南勝久 72点
タイトル:ザ・ファブル
作者:南勝久
連載期間:2014年11月~連載中 既刊6巻(2016年7月現在)
評価点:72点
あらすじ(ヤンマガ公式より引用):
鈍色の愛銃ナイトホークを手に、“殺し屋ファブル”が町にやってくる──!!どんな敵も鮮やかに葬り去る“殺しの天才”通称ファブルは、相棒の女とともに、日々、裏社会の仕事をこなす日々‥‥。だがある日、ボスの突然の指令を受け、“一般人”として、まったく新しい生活を送るハメに‥‥。そしてファブルの野蛮で、滑稽で、奇妙な“寓話”が弾け出したッ‥‥!!!
「実はある業界では伝説級にスゲー奴が一般社会に溶け込む」ものって、ジャンル物のひとつとして成立してると思うんだけど、なんか言いやすい呼び方はあるんだろうか。
真っ先に思いついたのは小沢としおの『ナンバMG5』なんだけど、たぶんもっとメジャーなのあるよな。ギャグだけどジャンプの『斉木楠雄のψ難』も似てるかも。
パターンとして、「だいたい上手いこと溶け込んでたけど、やっぱどうにも我慢ならない事件が起きて、その超人的手腕をもって解決し、そのせいで正体がバレそうになるんだけど、唯一の理解者ポジのやつのサポートによりギリギリでバレない」という出来事が繰り返し起こる。
キモは「主人公の言動と常識とのギャップ」「周りにバレてはいけないというスリル」「圧倒的な力を解放した時の爽快感」で、また「俺(読者)だけが主人公がスゲェやつだってことを知っているという優越的な俯瞰視点」も魅力のひとつだ。
この『ザ・ファブル』もそんな感じの作品である。
こういうジャンルものの場合、ジャンルものであるがゆえにある程度担保されている面白さのラインをどれくらい越えてくるかがひとつの注目ポイントになる。
実はこの作者の他の作品(『ナニワトモアレ』など)をまだ読んでないのだが、セリフにやたらと「―」が多い(音引きなのかダッシュなのかよくわからない。福本作品における三点リーダや板垣世界における「ッッッ!!」などと類似のものと思われる)など、なかなかクセがあって面白い。
また、主人公のキャラがいいと思う。こういう飄々とした天然系の主人公は感情移入が難しいが、その分超然とした魅力を感じさせるにはピッタリで、作品の方向性に合っている。
というわけで、今のところは「ジャンルものとしての面白さ」+「作者の世界観の魅力」+「主人公の魅力」でこの点数としたい。今後、ストーリー部分でどのように盛り上げていくのか非常に楽しみだ。