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【翁の漫画評】封神演義 藤崎竜 86点

 

 

タイトル:封神演義

作者:藤崎竜

連載期間:1996~2000年 完結(全23巻)

評価点:86点

あらすじ(公式引用):

西遊記』『三国志演義』『水滸伝』と並ぶ、中国四大怪奇小説の一つである――中国最古の王朝・殷。名君であった第30代皇帝・紂王は仙女・妲己に誘惑され、国は悪しき仙人たちによって支配された。成す術のない人間たちの事態を重く見た仙人界は、妲己たちを封印する「封神計画」の発動を決意。「仙道のいない真の人間界をつくる」壮大な計画を託された道士・太公望は仲間と共に過酷な戦いへと挑む!

 

 

ドラゴンボール』『スラダン』『るろ剣』『幽白』が相次いで連載終了し、黄金時代が終わったとも言われていた90年代後半のジャンプ。

当時の私はそんなこと知る由もなく、始まったばかりの『ワンピース』や『ハンターハンター』や『ナルト』に興奮していた。

この『封神演義』は、そんなラインナップの中で、当時の私にとっては決して四番打者ではなく、むしろ下位打線に位置するような漫画だった。

アニメ化もしてたけどゴールデンじゃなくて地味に朝とかにやってたし、たいして話題になることもなかった。

 

封神演義』が上に挙げた大ヒット作品に勝るとも劣らない傑作であると気付いたのは、連載終了後しばらくして、単行本で読み返した時だった。

通して読むと、少年誌で週刊連載していた作品とは思えないほどストーリーの完成度が高いのがわかるのである。

いや、正直に言ってしまえば、あくまで少年誌の範疇ではという条件付きではある。

特にジャンプにおいては「余計な引き延ばし」や「露骨なテコ入れ」、「後付け設定」や「謎トーナメント」がないだけで奇跡の完成度に思えるし、何より着地点が最初から決められており、きちんとそこに着地して終わったという作品は本当に少ない。

「打ち切られて終わる」か「力尽きて終わる」かの二通りしか少年漫画の終わり方を知らなかった私にとって、さわやかな余韻すら残す見事なエンディングは衝撃だった。

 

今思えば、何を思って中国の物語の中でも「封神演義なんかを漫画化しようと思ったのか、まったく謎である。

メジャーな「西遊記」ですらドラゴンボールがやろうとして失敗しているのに。

1994~2001年に横山光輝封神演義』がやってたらしいが、関係あるんだろうか?

こんなとっつきにくい題材をジャンプで完結させただけでも十分偉業と言える。

 

その偉業を成し遂げた最大の要因が、キャラクターの魅力にあることは間違いないだろう。

メインキャラはみんな魅力的だが、特に太公望、聞仲、妲己のデザインは群を抜いて素晴らしい。

連載終了から十数年の月日が経ってもなお、根強いファンがいるのも頷ける。

今、深夜アニメとかでリバイバルしたら意外とウケるんじゃないだろうか。

 

夏から殷、周という古代中国史の勉強(したいと思えるキッカケ)にもなるともっぱら噂のこの作品、ぜひ手に取ってみては。