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【翁の漫画評】あの子と遊んじゃいけません どろり 63点

 

あの子と遊んじゃいけません (エヌ・オー・コミックス)

あの子と遊んじゃいけません (エヌ・オー・コミックス)

 

 タイトル:あの子と遊んじゃいけません

作者:どろり

連載期間:? 作品集

評価点:63点

あらすじ(公式引用):

日本一ふざけたWEBメディア「オモコロ」の中で、異彩を放つ漫画を発表しつづける鬼才、どろりの初作品集がついに登場。『友人宅全焼』『絶頂』『神様からのメッセージ』等の話題作に加え、この作品集でしか読めない描きおろし新作も収録します。SFにちょいエロ成分を足した、どろり式ディストピアギャグをお楽しみください。まさに子どもに読ませたくない仕上がりとなっております。

 

 

 Web発の新人の初作品集ということだが、書店で面陳されてたので買ってみた。

あらすじに「SFにちょいエロ成分を足した、どろり式ディストピアギャグ」と書いてあるけど、SFはともかくエロさはほとんどない。下ネタはあるが。

最初は施川ユウキ先生をブラックにした感じかなと思ったが、読み進めたら全然違った。似てるのは絵のヌキ加減だけだった。

ギャグ?に関しては、クスリときたのが1箇所だけ(足舐めるやつ)。

いや、つまらないと言っているわけじゃなくて、そもそもこれはギャグ漫画じゃないんじゃないかと思う。

全編通してツッコミが不在だから、Webで1話1話読む分にはシュールギャグととれるかもしれないが、本でまとめて読むとギャグが消化しきれずにホラーに転じてる。

不条理系SFホラーでしょ、これは。

ちなみに、掲載メディアの「オモコロ」っていうサイトにはこの人の4コマ漫画とかもあって、それはギャグとして結構面白かったけど。

 

星新一チックな現実から少しズラした世界観で、脈絡のない展開を味わいたい人にはおすすめかもしれない。

個人的にこの手の漫画は、初見は新鮮に感じるポイントもあるんだけど、どうにも再読性が薄いので好みではない。

いっそ、作画を小畑健先生にでも頼んで(奥浩哉先生も合いそう)むちゃくちゃ真剣に描いてもらったら面白いものができるんじゃないだろうか。

 

ところでこの「オモコロ」っていうWebサイト、別に小学館の系列でも何でもないっぽいんだよね。口コミかなんかが小学館の編集者の耳に入って、オファーされたんだろうか。"エヌ・オー・コミックス"とかいうレーベルも初耳だなと思ってググったがこれしか出てこない。

2chのVIPから『ワンパンマン』がフックアップされて超メジャー化したときも感じたけど、つくづくそういう意味では夢のある時代になったと思う。出版社に持ち込んでボツくらったような作品でも自分が面白いと信じて描き続ければ、どこかで話題になって逆オファーが来る可能性すらあるんだから。

逆に言うと、編集者は今まで以上にアンテナを広げなくてはならなくなって大変だ。特に持ち込みや賞応募が少ない三大以外の中小は。pixvから新都社まで広大なWebの隅々に目を配らなきゃいけない。今後も、版元運営のWebサイトはもちろん、無関係の場所で発掘された作品がこうして本になって出てくる機会も増えるだろう。

 

だいぶ漫画評から話がズレてしまったが、今後もこういう意欲作は積極的に購読して、なかなか手が出ない人たちにも紹介していきたいと思う。