【翁の漫画評】だがしかし コトヤマ 70点
タイトル:だがしかし
作者:コトヤマ
連載期間:2014~連載中 既刊5巻(2016年8月現在)
評価点:70点
あらすじ(公式引用):
イナカの駄菓子屋を継がせたい父と、継ぎたくない息子のココノツ。そんな店に、都会からやってきた駄菓子屋マニアの女の子・枝垂ほたるが現れる。ほたるはココノツに駄菓子屋を継がせるため、たびたび店を訪れるようになって…!?ボーイ×ガール×だがしコメディ―!
近年の「少年サンデー」で最もヒットしたかもしれない作品。
基本的に1話完結形式で、毎回1~数種の駄菓子をギャグを交えて紹介する。
作中に登場する駄菓子はほとんど実名で、パッケージなどもそのまま描かれている。
駄菓子の代名詞、「うまい棒」も実名で登場(画像はアニメ版)
駄菓子というあまり類を見ないテーマということで、アニメ化前から漫画好きの間ではかなり話題になっていた。
駄菓子大好きっ子だった私はむちゃくちゃノスタルジーを刺激されたが、今の小~中学生くらいにとっては、知らない駄菓子が多くて逆に新鮮な感覚なのではないだろうか。
私も初めて見る駄菓子がいくつかあって、読んだら食べてみたくなって思わず近所のお菓子屋さん(お○しのま○おか)に走ったくらいなので、ある意味小学生にとっては目の毒かもしれない(笑)。
作中のシカダ駄菓子店のような昔ながらの駄菓子屋は都市部からはほとんど消えてしまったと思うが、ゲームセンターCXのたまゲーなんかを見てるとわずかに残っているようだ。
また駄菓子漫画ということでグルメ漫画の一種のようにも見えるが、どちらかというと駄菓子という文化そのものを紹介しているような感覚で、『こち亀』の駄菓子回を現代風にリメイクしたようなイメージのほうが近い。
「子供でも買える安さ」や「見た目やギミックの楽しさ」を重視している点も駄菓子漫画としてとても正しい視点だと思う。
少年漫画たるもの"童心"に訴えかけることは至上命題であるが、何とも直接的なアプローチではないか。多大な取材と許諾取得業務など編集スタッフの努力にも頭が下がる。
ちなみに5巻までで取り扱った駄菓子は全76種類。
「うまい棒」「ポテトフライ」「ヨーグレット」など一度は見たことがあるものから「わくわくスマートフォン」「食べルンですHi」など比較的新しい駄菓子も登場する。
個人的にまだ出てきてない駄菓子で気になるのは、「ぬーぼー」「ヤッターメン」「どんどん焼き」「ジューC」など…どういった形で登場するのだろうか、非常に楽しみだ。
だが、ヒットさせるには駄菓子だけでは弱いと踏んだのだろう。
ストーリーの弱い作品に「美少女萌え」か「腐女子受け」の存在は不可欠。
戦略としてそれを理解したうえで、「必要最低限のエロさ」をギリギリ鼻につかないレベルで繰り出すテクニックもあなどれない。
ヒロイン格の2人 <枝垂ほたる> と <遠藤サヤ>
とはいえ1話につき駄菓子1種以上という縛りがあるだけに、いつかネタ切れが訪れるというのが心配なところ。
長期連載を目論むなら駄菓子をテーマにしつつ、駄菓子1種で数話~十数話のシリーズを構成するような方向転換もありえるかもしれない。
いずれにせよ駄菓子うんちくを抜きにしても、純粋に女の子の描き方やギャグのキレやテンポも悪くないので、サンデーのニューフェイスとしてこれからの活躍を期待したい。