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【翁の漫画評】嘘喰い 迫稔雄 93点

 

タイトル:嘘喰い

作者:迫稔雄

連載期間:2006年~連載中 既刊43巻(2016年8月現在)

評価点:93点

あらすじ(公式引用):

嘘喰い」と呼ばれる謎のギャンブラー斑目貘。ひと癖もふた癖もある仲間達と共に並外れた頭脳と冷徹さで瞬く間に大金を手に入れていくが、その目的は何なのか!? そして謎の組織「賭郎」とは……!? 智略と暴力が、嘘と真実が入り混じる賭博の世界――。最強のギャンブラー・斑目貘が、相手の嘘を喰い尽くす!!

 

 

『キングダム』と並んで、ヤンジャンで最も長く連載している作品。

もちろん連載期間の長さだけでなく、面白さでも双璧と言っていい。

最近のヤンジャンは黄金時代を迎えつつあり注目が高まっているが、『嘘喰い』は今ひとつ広く知られていないと感じる。

テラフォーマーズ』より『東京喰種』より『うまる』より、もっと評価されるべき作品なのに!

 

簡単に内容を説明すると、「ギャンブルもの」×「格闘もの」である。

最初「ギャンブルもの」と聞いたとき、私は愚かにも「なんで『ライアーゲーム』がやってんのにまたギャンブルもの始まるんだよ、どうせ『カイジ』の劣化版みたいなやつだろ」と思っていた。

実際、最初の数話を読んだ段階ではその感想は変わらなかった。

旗色が変わってきたのは、最初のシリーズ(廃ビル脱出編)のあたり。「ん?ちょっと今までのギャンブルものとは趣向が違うな」と感じ始める。次のシリーズ(ハングマン編)でそれが確信に代わる。迷宮編、雄牛の子宮編を読み終えたときには完全に手のひらを返していた。「この漫画、めちゃくちゃ面白いじゃねーか!」

従来のギャンブルものとの一番の違いは、ギャンブルを単なる頭脳勝負とせず、「暴力」を肯定し、漫画的に表現したこと。ギャンブル漫画なのに『バキ』や『タフ』にでも出てきそうな格闘の超人たちが現れ、人間離れした闘いを繰り広げるのだ。

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単体で格闘漫画として読みたいくらいのクオリティ

また、勝負の内容が「ババ抜き」や「あっち向いてホイ」、「叩いて被ってジャンケンポン」から「指タッチして5になったら負けのやつ」まで、ルール説明がいらないほど身近な遊びをアレンジしてデスマッチにしてしまうという点も斬新だった。

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あっち向いてホイに破滅的な大金を賭ける…!

 

絵についても、初期はかなり微妙だったのに、今ではたぶんヤンジャンで『リアル』の次に上手い。連載中に絵が上手くなっていく現象はよくあるが、この人ほど短期間に劇的に上手くなった人はいないのでは?

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第一巻の主役級2人。左が梶ちゃん、右が獏さん

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今や獏さんはこんな感じになり

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梶ちゃんもこんなに立派になりました

ちなみに、『ジョジョ』の荒木先生のもとでアシスタントをしていたという経歴を持っている。だからかはわからないが、絵にどこか色気があると思う。

 

最新の43巻では、長年の戦友『キングダム』の原先生と師匠の荒木先生から連載10周年のお祝いイラストが掲載されており、思わず胸が熱くなった。

連載10周年記念で実写映画化企画が進行しているらしいが、これを機に嘘喰いファンが増え、さらにヤンジャンが盛り上がることを期待している。 

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