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【翁の漫画評】今日は死ぬのにもってこいの日 むとうひろし 52点

 

タイトル:今日は死ぬのにもってこいの日

作者:むとうひろし

連載期間:2013~2016年 完結(全3巻)

評価点:52点

あらすじ(公式引用):

ゆとり世代の『リア充』大学生グループ。“エロい”温泉合宿の夜。2つの要素が絶妙に絡み合った時、とんでもない“異性物(クレイマン)”が出現! 大学生たちは生死を懸けたパニック状態に陥っていく……。

 

 

タイトルに惹かれて購入した本作であるが、思っていたのとは違った。

大学生グループが旅行先で謎の怪物に襲われるという、よくあるパニックホラーだ。

思ってた内容と違うのは全然かまわないが、単純に作品としてもどうかと思う出来だった。

 

正直、端的に言って、『アイアムアヒーロー』とカブりすぎでないかい!?

 

いや、肉肉しい怪物っていう点も、感染?寄生?されると血管が浮き出て言動がおかしくなるという症状も、ありふれているといえばそうなのでパクリとは言えないのかもしれないが、先にヒット作があるんだから似た表現は外すべきだろう。

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謎の化け物に取り付かれて理性を失う中年男性

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参考)アイアムアヒーローのZQN。似すぎだろ!

 

それから、どうも「誰が死ぬのか、誰が生き残るのかわからない」という展開を浮きだたせるような多少のギミックがあるのだが、それをやるなら前段階からキャラクターをじっくり描くべきだ。

キャラクターに何の思い入れもない状態で誰が死のうが、("´_ゝ`)フーンとしか思わないし、そんなに意外性も感じない。だいたい、この大学生グループがどうも薄っぺらい友情しかなさそうなので、誰かが死んだり裏切りがあっても関係性が壊れる深刻さみたいなものを感じられない。

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チャラそうな大学生グループ。すでに全員に死相が出ている。

掴みのために1話から化け物がでてくるのは全然アリだと思うが、回想シーンを挟みながらでも登場人物にまず感情移入させるべきではないか。主人公たちのグループにしても、固い絆で結ばれた親友同士にしておいたほうが絶対面白くなると思うのだが。

そのためにも起承転結の「起」をじっくり描いてほしかった。

 

パニックシーン自体は、登場人物の行動などのリアリティも含めてよく描けていると思うが、ヤバい状況でも(だからこそか?)性欲が抑えられなくなってしまうというのも、どこかで見たような展開だ。とにかく導入から全体的に既視感を感じる。

パニックの規模の問題もあるが、『アイアムアヒーロー』のような画面の迫力も欠けている。コマ割りを活用したスピード感はさすがと思うところもあるが…。

 

結論、数あるゾンビ系パニックホラーの中でも特筆すべき美点がみつからない作品。買ってまで読むものではないと思うが、この手のジャンルを色々読みたい人には選択肢の一つにはなるだろう。