サッカー漫画の主人公だけで1チーム組めるのか
こんにちは。
先日の記事も合わせて、超久しぶりの更新です。
単行本単位の感想自体は読書メーターで続けているのでよかったらご覧ください。
さて、サッカー漫画の主人公といえば、一昔前はFWかせいぜい攻撃的MF、とにかく積極的にシュートにいきやすいポジションというのが当たり前でしたね。
サッカーの華といえばゴールな訳ですから、当然といえば当然の話です。
しかし、ジャンルとしてのサッカー漫画が成熟してきて、作品が量産されて飽和状態に陥っていくにつれ、差別化のためにあまりスポットの当たっていなかったポジションを主人公とする作品も増えてきました。
あるいは、ファンタジスタがもてはやされた90年代から、現代サッカーのスタイルが変化し、各ポジションの役割もまた変化したことも原因かもしれません。
というわけで、そろそろ主人公だけで1チーム11人作れるのでは?と思ったので試してみたいと思います。
なお、チームを成立させるための強引なコンバートは無しとし、その主人公が公式戦(又はそれに準じる重要な試合)でプレーしたことのあるポジションのみとします。
また、フォーメーションは4-2-1-3型とします。
(1) CF
(2) LWG (3) RWG
(4)OMF
(5)DMF (6)DMF
(7)LSB (8)RSB
(9)CB (10)CB
(11)GK
【CF】
まずは、チームの得点源、センターフォワードです。
得点という形で活躍をわかりやすく示すことができるし、直接的にチームを勝たせることもできるため、主人公にぴったりのポジションで、実際このポジションには主人公がひしめいています。
また、子供の頃は相対的に上手い選手がFWに置かれることが多いため、大人になるにつれポジションが下がっていくというのはリアルでもよく聞く話。
というわけで、選択肢がありすぎて逆に迷いますが、ここは個人的な好みとして、バティストゥータやイブラヒモビッチ、あるいはハリーケインのような、タッパがあってパワフルな選手を置きたい。
となれば、コイツだ。*1
(1) 田仲俊彦
『シュート!』シリーズの主人公。
フィジカルこそそこまで強いイメージはないが、「幻の左」と呼ばれるとにかく強烈な左足のシュートを持ち、エリア外からでもおかまいなしにゴールを決めてくる。
また、「ファントムドリブル」という必殺ドリブルもあり、単独での打開力も高い。
その他の候補:
風祭将『ホイッスル』
逢沢駆『エリアの騎士』
柄本つくし『DAYS』
一条龍『BE BLUES!〜青になれ〜』
などなど
【LWG】【RWG】
ウイングといえばドリブラーの華。
サイドをえぐってクロスを上げるもよし、カットインしてシュートを狙うもよし、とにかく1対1で仕掛けることが求められるので、気が強いタイプの主人公にぴったりのポジション。
また、ポストプレーを求められるCFやマークの激しいトップ下と違って、フィジカルの強さがあまり求められないのも特徴で、小柄な選手の生きる道でもある。
ウイングにもたくさん候補選手がいると思うが、ここではこの二人を選出したい。
まず左から、
(2) 成神蹴治
『振り向くな君は』のダブル主人公の一人。
天才的なドリブルを持つ一方で、フィジカルとスタミナに大きな課題を持つという典型的な漫画的ウイングプレイヤー。
『DAYS』も面白いが、『振り向くな君は』もよかったんだって。
新装版も出てます。
右は
(3) 志野リュウジ
『龍時』の主人公。
元は小説が原作らしいのだが、
「ワールドサッカーキング」(通称「サカキン」)で連載していたので、
海外サッカーファンなら一度読んだことがあるという人も多いかもしれない。
主人公のリュウジは、ドリブルを得意とするプレースタイルで、確かスペインのアトレチコかどこかのユースで活躍していた…気がする。
読んでたのが昔なので記憶が怪しい…再読したいのだが、電子版が見つからず、手に入れるのが難しそうだ。
その他の候補:
今中一輝『夕空のクライフイズム』
香取一斗『かっとび一斗』
【OMF(トップ下)】
さて、いよいよ花形であるトップ下。今となってはトップ下=ファンタジスタではなくなってしまったが、間違いなくその時代はあった。そして、その時代に最も貢献したであろうこの作品を外すことはできないであろう。
(4) 大空翼
言わずと知れた『キャプテン翼』の主人公。
翼くんといえば10番、10番といえば翼くん。
アイツのうわさでチャンバも走る。
その他の候補:
坂本轍平『ファンタジスタ』
赤星鷹『Jドリーム』
など
【DMF(ボランチ)】
中盤の守備的ポジションであるボランチは、2000年代に入ってその重要性が周知されるにつれ、漫画においても注目度が上がったポジション。
このポジションの注目度を高めたのは、リアルにおいてはグアルディオラ、シャビ、ピルロ、ジェラード、遠藤保仁あたりではないかと思う。
そして、近年になってこのポジションの主人公もポツポツと現れた。
このチームではダブルボランチなので、この二人を選出したい。
(5) 椿大介
『GIANT KILLING』の主人公…は達海だとWikipediaには書いてあるが、代表戦ではほとんど達海の出番がないことを考えても、少なくともプレーヤーサイドの主人公と言えるのは間違いないだろう。
テクニックに秀でているという描写はないが、とにかく豊富なスタミナで攻守に顔を出し、「いてほしいところにいる」というタイプの選手。
ミドルシュートも積極的に放ち、こぼれ球やマイナスのパスをエリア外からゴールに叩き込むことも少なくない。
(6) 沖千尋
『フットボールネーション』の主人公。
元ユースのアマチュア選手ながら、作中ではほとんど国内最高レベルのテクニックの持ち主。
なにやら腿裏の筋肉を使うことによって体幹がすごいということでフィジカルも強いし、視野も広いし、とにかく何でもできる万能型のMFと言え、作中では底が見えないプレーヤーとして描かれている。
その他の候補:
高杉和也『俺たちのフィールド』
【LSB】【RSB】
さて、問題はここからである。
サッカーといえば点を取り合うスポーツ。
当然攻撃的なポジションの選手が主人公になりやすく、相手ゴールに遠いバックスの選手はライバルとして描かれるか、脇役となりやすい。
さらに、サイドバックは守備陣でもひときわ地味なポジションで、長く野球で言うところの「ライパチ」的な存在と見られてきた。
攻撃ではひたすらウイングのサポートとクロスマシーン…自陣に近いためドリブルも求められず、奪ったらロングボールか中盤にボールをあずけるだけ、というのが従来のイメージ。
しかし、近年はマイコンやマルセロ、コンバート前のベイルのように積極的にゴールに絡む選手や、ラームやアラバなどチームのキーマンとなるような選手も増え、リアルでSBの重要性が増すにつれ、ついに漫画界にもサイドバックの主人公が現れるようになった。
(7) 青井葦人
『アオアシ』の主人公。
このノミネート自体、若干のネタバレを含むが、ご容赦願いたい。
ごく普通のサッカー漫画として始まったように見えた本作。
高校サッカーがテーマの作品が多い中、ユースサッカーは珍しいなと読み進めていると、度肝を抜かれたFW→SBのコンバート。
葦人の強みは、スポーツ系キャラにありがちな「鷹の目」、フィールドが俯瞰で見えるというアレの強化版のような能力なのだが、今までの作品なら、十中八九、トップ下か、せいぜいボランチのキャラに持たせる能力だったと思う。
この能力をSBでやろう、という発想が、現代サッカーの波が漫画にも来ていることの何よりの証明ではないだろうか。
さて、そんな現代サッカーの申し子を左に置いて、右には誰を置くのか。
(8) 梶本洋平
『マネーフットボール』の主人公。
「マネー」と冠する通り、スポーツとしてのサッカーというより、興行としてのサッカー、またクラブ運営などの視点を取り入れた作品。
『グラゼニ』をサッカーにして地味にした感じ、と言ってしまうと身も蓋もないが、大人のサッカー漫画と言った感じである。
主人公の梶本も、自分の選手としての価値を上げるためにどうしたらいいかに頭を悩ませ、独自の武器としてロングスローを磨いたり、ファンサービスに目を向けたりする。
武器がロングスローってとこがまた地味でいい。
【CB】
さて、ついに守備の要、CBである。
CBは近年、守備だけでなく攻撃の起点としても重要性が増しているポジション。
一見、マッチョで脳筋なイメージがあるが、オフサイドラインを統率したり、中盤の選手と連携を取りながらボールホルダーを追い込んだりと、相応のインテリジェンスも求められる。
しかし、漫画的にどうかと考えた時、やはり動きが少ない。
また、攻撃の起点とは言っても本職は守備なので、どうしても「受け」にまわりがちで、見せ場が作りにくい。
はたして、そんなCBが主人公の漫画なんてあるのか…?
あるんです。
(9) 千明明
その名も、『Mr.CB』。カタカナで書くと競走馬のようなタイトルだが、タイトル通り、主人公の千明明(ちぎらあきら)はCB、センターバックである。
3部リーグの弱小クラブに加入した高卒新人の千明が、ものすごい素質を発揮し始める…という話だと思うが、まだ4巻しか出ていないので、今後の活躍が楽しみである。
ちなみに、本作のインタビュー記事が興味深かったので貼っておきます。
さて、そんなゴールデンルーキー千明のパートナーは誰を組ませるか。
(10) 武田弾丸
すいません、この人しかいませんでした…。
『リベロの武田』の主人公。
サッカー漫画か?と言われるとかなり疑問符がつくのは間違いないが、まぁサッカーしてないことはないので大目にみてください。
「稲中」が卓球してるよりはサッカーしてる気がする…!
【GK】
さて、締めくくりはゴールを守る最後の砦。
GKは11名の中でも特殊なポジションで、求められる資質も練習内容もフィールドプレーヤーとは一線を画すわけですが、日本では残念ながら昔から人材不足です。
代表レベルでも、川口、川島と海外の一線級で通用したとは言えず…、未だ、世界に通用する日本人GKは出てきていません。
それでは、漫画世界ではどうでしょうか。
(11) 神谷蒼
『蒼のアインツ』の主人公。
ピンチに動じず、むしろピンチを楽しんでしまう鬼メンタル系主人公。
日本人ながら、GKの本場ともいえるドイツ2部リーグに挑戦します。
こちらもまだ単行本3巻と始まったばかりで、これからの活躍が期待されます。
その他の候補:
番外【監督】
さて、ついに主人公だけで11人が揃いました。
しかし、チームには監督が必要。
となれば、この人しかいないでしょう。
達海猛
『GIANT KILLING』の主人公。
監督が主人公、というのは、最初驚きましたね。
だいたい少しかじったくらいのサッカーファンでも、
監督が実際に何をどうしてるのかって、意外とあまり知りません。
そして監督としての能力ってファン目線では測りにくいんですよね。
勝てば選手のおかげ、負ければ監督のせい、という視点になりがち。
ちょっと前まで現役だった選手がすぐに監督になってたもするし、
代表監督なんて急にマラドーナが就任したりするくらいですから、
選手やスタッフが優秀なら誰がやっても一緒なのでは?と思うこともあります。
そんな監督というポジションの見方が変わったのは、
やはりモウリーニョというカリスマの存在が大きかったと思います。
そして、達海猛というキャラも、そのエッセンスを受け継いで生まれたキャラだというのは、疑いようがないと思います。
番外【代理人】
チームの一員ではありませんが、プロ契約には欠かせない、スポーツ代理人。
海外サッカーで言えば、ミノ・ライオラなどが有名ですが、スポーツファン以外にはあまりピンとこないかもしれません。
そんな知る人ぞ知る的な職業まで、漫画になっているのです。
先崎恭介
「錬金術師」「悪魔」と言われるやり手のサッカー代理人だが、何やら暗い過去をかかえており…?
ただ、本作の代理人は裏金や脅迫など明らかに倫理に悖る行動を行なっており、現実のスポーツ代理人のお仕事漫画というよりは、あくまでフィクションとして読んだ方がよさそうです。
少々脱線しましたが、最終的には以下のようなチームになりました。
4-2-1-3 監督:達海猛
田仲俊彦
成神蹴治 志野リュウジ
椿大介 沖千尋
青井葦人 梶本洋平
千明明 武田弾丸
神谷蒼
意外と、バランスが取れていて強そうなチームができたのでは?
椿のボール奪取から成神が運んで、翼くんのラストパスからトシが幻の左!
などなど、色々と妄想が捗りますね。
ここまでに挙げた作品で読んだことがないものがあれば、ぜひ読んでみてください。
今後は、どんな新しいサッカー漫画が出てくるのでしょうか?
野球の方ではスカウトマンが主人公なんてのも出てきましたし、
審判が主人公とか、スポーツドクターが主人公とか、ホペイロ(用具係)が主人公とか、色々ありそうです。
こんな作品があるよ!というオススメがあれば、教えてくれたら嬉しいです。
それではまた。
*1:ここまで書いておいて何だが、調べたらトシは身長172cmしかないんだって。特にデカくもなかった。でも、対抗の選手もチビキャラが多いから、相対的にデカイと言えなくもない。