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【翁の漫画評】DAYS 安田剛士 70点

 

タイトル:DAYS

作者:安田剛士

連載期間:2013年~連載中 既刊17巻(2016年7月現在)

評価点:70点

あらすじ(公式引用):

嵐の夜、ふたりの少年が出会った。何のとりえもない、特技もない、けれど人知れず、熱い心を秘めた少年・柄本つくし。孤独なサッカーの天才・風間陣。嵐の夜、交わるはずのないふたりが出会ったとき、高校サッカーに旋風を巻き起こす、灼熱、感動、奇跡の物語が幕を開ける!!

 

 

2016年夏アニメとして絶賛放送中の、マガジンのサッカー漫画。

普通に少年漫画らしい王道サッカー漫画なんだけど、なぜか深夜枠。

考えてみれば『ジョジョ』や『うしとら』ですら深夜なわけで、少年漫画=朝or夕方~ゴールデンっていう時代じゃないんだな、もう。

 

この作品の前に『振り向くな君は』という同じ高校サッカーを題材にした漫画を連載していたのだが、そちらは4巻くらいで終わってしまった(たぶん打ち切り)。 

 

『振り向くな君は』がダメで、『DAYS』が売れたのは何故なのか…正直、よくわからない。

しかし恐らくは、キャラクターの魅力という部分が大きいのだろう。

『振り向くな君は』は主役級の成神と犬童に集中的にスポットが当てられ(この二人は『DAYS』にも敵として出てくる)、あと目立ったのはDFの如月くらいでそれ以外のチームメイトは正直あまり印象に残らなかった。

一方、『DAYS』は上級生レギュラーを中心にほぼ全てのメンバーをしっかり作り込んできており、逆に主役級だったはずの風間の影が薄くなるくらい。

また、上級生に比べて同級生はあえて地味めにしているように感じる(風間を除く)。

代替わりした後、頼りなかったキャラが先輩の意志を引き継いで見違えるように成長する展開は大好物なので、そのための伏線なら長期連載も大歓迎だ。

 

球技にしろ格闘技にしろ、スポーツもののリアリティラインは重要だが、リアルとアンリアルどちらがいいというものではない。

少年漫画においてはリアル路線で面白いものを描く方が難しいとされている気がするが、非リアルでバランスを取っていくのもかなり難しいと思う。(スポーツもののリアリティラインについては、いずれ別途詳しく考察してみるつもり)

サッカーに関して言うと、野球よりも流動的であり(プレーのメリハリが表現しにくい)、バスケよりもコートが広い(プレーの全体像をつかみにくい)という点で、球技の中でも試合描写はかなり難しい部類に入るスポーツだと思う。

だから、どうしても必殺シュートのような派手な演出を入れないとキャラのすごさが伝わりにくい。特に、未経験者やあまりサッカーを見ない人にとっては状況をつかむことすら難しいかもしれない。

そうなると解説役ポジのキャラ(観客席で見てる前の対戦相手とか)がいかにすごさを伝えるかが重要になるんだけど、露骨にやりすぎるとテンポを損なうし滑稽になってしまう。

『DAYS』に関して言うと、必殺シュートなどに頼らずまともなプレーを見せつつ、「十傑」などの大仰な設定でケレン味を出してバランスを取っているのが、丁度いい具合になっているのかもしれない。

ただしこういうバランスは連載が続けば続くほどインフレしていくのが必定なので、いかに維持していくかが難しいところなのだが…。

 

いつものことながら論点がとっ散らかってしまった。

まとめていうと個人的には『DAYS』には長く続いてほしいし、もっと面白くなるポテンシャルがあると思う。

定型的なキャラの魅力だけに頼らず、試合の演出面、ストーリーの構成面でいかに魅せられるか、今後に注目していきたい。