「自分を構成する5つのマンガ」語ってみた
マンガサイト「アル」で面白い機能があったので、やってみた。
題して「自分を構成する5つのマンガ」。
「大切なことは全部マンガから教わった」なんて言葉、大げさでもなんでもなくて、
本当に自分の血肉の多くがマンガで構成されているなと思うのだが、
その中でも特に要素の大きい5作品を選んでみた。
これは、ある意味何より深い自己紹介というか、自分語りになる気がする。
興味がある方はどうぞ。
選んだのは、画像の通りの5作品。
全部文句なしの名作で、ガチガチの王道な選択だと思うが、
自分が作品に触れた時系列に沿って説明していきたい。
<目次>
- 『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!マサルさん』(小4くらい)
- 『ろくでなしBLUES』(中1くらい)
- 『ジョジョの奇妙な冒険』(中2くらい)
- 『寄生獣』(中3くらい)
- 『天 -天和通りの快男児-』(高1くらい)
『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!マサルさん』(小4くらい)
自分だけでなく、ギャグ漫画界全般を見渡してもエポックメイキングな一作。
世にギャグ漫画は数多あれど、「フフッ」とか「クックック」じゃなくて、「ギャハハハハ、ヒーッヒーッ!」と笑える漫画は実は多くないのではないかと思っている。
私の経験上では、『マサルさん』『日和』『ボーボボ』『稲中』『ハトよめ』のわずか5作。
「ボロボロ泣ける漫画」より、「ギャハハと笑える漫画」の方が希少で貴重なのだ。
そんな中でも、本作は自分が初めて出会った「死ぬほど笑える漫画」で、幼心に「将来は漫画家になりたい」と思うほどに、衝撃的な出会いだった。
「どすこい喫茶ジュテーム……! と、書いてある」
『ろくでなしBLUES』(中1くらい)
これは、読んだ時点で実は連載が終わっていて、確か『ROOKIES』が始まって面白かったから過去作を読んでみたらむちゃくちゃハマったパターンだった気がする。
本作は、どうしても『ビー・バップ・ハイスクール』的な不良漫画の文脈の中で語られがちなのだが、とうていその枠に収まりきらない魅力がある。
大きく分けて「ボクシング」「喧嘩」「純愛」の3つの要素がバランスよく組み合わさりながら物語が展開していくのだが、このどれをとっても質が高く、極上の青春物語に仕上がっている。
そうはいっても、もっとも大きい要素は「喧嘩」だと思うし、四天王の激突や共闘には熱き血潮がたぎるのを抑えられないわけだが。
不良漫画全般に言えるが、読んだ後は一時的に気が大きくなり、自分が強くなった気になってしまうが、全然そんなことはないので注意が必要である。
影響されてブルーハーツを聴きまくったのもいい思い出。
「力が信頼を生むんじゃねぇ 信頼が力をくれんだよ」
『ジョジョの奇妙な冒険』(中2くらい)
小4か小5くらいでジャンプを買い始めたとき、確か5部が連載されていた気がする。
しかし、癖の強い絵柄はとっつきにくく、内容も小学生には理解が難しかったし、そもそも途中から読んでもわからない。
さらには、最初から読もうとするとその時点で50冊以上集めなければならず、ハードルが高かった。
ようやく、読む気になったのは中学のころ、6部が始まったのがきっかけだった。
大型の古本屋で立ち読みで読み始めたら、すぐに虜になり、結局なけなしのお小遣いを使って全巻揃えた。
1部、2部、3部、4部、5部…全部違って、全部面白い。
なぜ今まで読み飛ばしていたのか。何ともったいないことをしていたのか。
しかしジャンプを読んでいても、まだジョジョを読み飛ばしている友達は多かった。
ジョジョの面白さに気づいた私は、クラス中に1巻から貸し与え、瞬く間にクラスをジョジョラーに染め上げた。
思えば、この頃漫画とゲームの話ばっかりしていた気がする。
いや、それは今の中学生も変わらないか。
「たった一つのシンプルな答えだ……てめーは俺を怒らせた」
『寄生獣』(中3くらい)
ジャンプを卒業、というわけでもないが、徐々に漫画の好みが少年誌からヤング誌に移行してきた頃であった。
その頃すでに、本作は名作としての評価を確立していたが、読み始めた頃は半信半疑だった。
なんか、古いし。今読んでもそんな面白くないんじゃないの。
高い評価も、「考えされられる」みたいな意見が多いし、説教くさい感じでエンタメ的には楽しめないんじゃないの。
そんな疑いは、即、裏切られる。クソ面白い。普通に面白い。普通にクソ面白い。
そしてやっぱり、考えさせられた。「考えさせられる」って言ってた通り、考えさせられた。
でもそこに説教くささ、鼻につく感じは一切なかった。
間違いなく名作だと思った。
この頃は、「考えさせられる」系の名作を他にもたくさん読んだ。
『プラネテス』『ヒミズ』『ザ・ワールド・イズ・マイン』などなど。
中でもやっぱり、一番王道で、一番胸にガツンときたのは本作だった気がする。
「心にヒマ(余裕)がある生物 なんとすばらしい!!」
『天 -天和通りの快男児-』(高1くらい)
高校に入って、麻雀を覚えた。
部室には『近代麻雀』が置いてあって、『アカギ』が連載していた。
『アカギ』はもちろん面白く、大好きだ。
『銀と金』も衝撃だったし、初期『カイジ』は最高。『涯』も『黒沢』も震えた。
しかし、自分の人生に深く影響を与えたのは、『天』だった。
読んだ人ならわかるだろうが、本作は大きく3つのセクションに分かれている。
1.ひろゆき・天・赤木・原田の出会い
2.東西戦
3.赤木の生前葬
この3は1・2までの流れから明らかに異色というか、自然な物語の流れからは絶対に出てこない展開で、赤木しげるというキャラが動き出したとしか言いようがない。
なんなら東西戦で一回話終わってるし、テーマから何から全く別の作品じゃん、という気すらするくらいだ。
しかし、この3がものすごく、読む者の心を揺さぶってくるのである。
特に、私が感涙せざるを得なかったのが、ひろゆきと赤木の対面の場面
「熱い三流なら上等よ…!」という言葉が、本当に一生忘れないレベルで心に刺さった。
この記事を書くにあたって少し検索したところ、自分と同じように勇気付けられたという声が多く出てきた。
言ってしまえば、「失敗を恐れるな」なんて、月並みな言葉。
その辺の自己啓発書にもゴロゴロ転がっている。
しかしそれが、赤木とひろゆきというキャラクターを通した時、読者はひろゆきに感情移入しているため、赤木から出る言葉が、直に響くのである。
なぜなら、そこまでの読者は赤木を知っているから。
東西戦から生前葬編まで、赤木にさんざん魅せられているから。
そして、赤木が好きになっているから。
だから、よく知らないどこかの誰かの言葉よりも、すっと胸に入ってくるのである。
本作も何度も読み返しているが、何度読んでも号泣する…。
麻雀がわからなくても読めるが、やはり損ではあるので、麻雀を覚えて読むと良い。
「家族はいずとも…俺に、友はいたのだ…」
以上、「自分を構成する」というテーマ上、すべて思春期〜それ以前に触れた作品になりました。
すべて読んだことのある人にとっては、ベッタベタな選択だと思われたかも知れませんね。
どれも、客観的にも名作の呼び声高い作品ばかりですので、未読の方には文句なしでおすすめです。