【翁の漫画評】ベイビーステップ 勝木光 84点
タイトル:ベイビーステップ
作者:勝木光
連載期間:2007年~連載中 既刊41巻(2016年9月現在)
評価点:84点
あらすじ(公式引用):
小学生のときから、成績はずっとオールA! 几帳面でマジメな“エーちゃん”は、高校進学を機に軽~い気持ちでテニススクールに通い始める。そこで、ちょっぴりいい加減!?でも、テニスに懸ける情熱だけはマジメな美少女“ナツ”と出会い、テニスの魅力に取りつかれて人生激変!!
「週刊少年マガジン」で連載中のテニス漫画。
実は、テニス漫画ってメジャーなスポーツの割に数が少ない。
特に少年漫画でここまでヒットした作品は過去にないのでは?(テニヌじゃなくてテニスで…)。もちろんアニメ化もしているし、実写化もしているらしい。
実写版、見てないけど右の子がナッちゃんか?
しかもこれが連載デビュー作品だというのだから末恐ろしい。
むしろベテランのような安定感を感じるのだが。
内容は、体格的に優れてるわけでもない、ろくに運動経験もない普通の男の子が高校からテニスを初めてプロを目指す話。
こう聞くと荒唐無稽な感じもするが、とにかく理論立てて話が進んでいくのであまり無理を感じさせない。
主人公のエーちゃんは超几帳面で超理論派。スタイルはテニプリでいう乾みたいなデータテニス。少年漫画の主人公としては意外性がある。
試合中にもとにかく頭を働かせる。コートチェンジの合間はノートを取りまくる。
意外性と言えば、そもそも高校生なのに部活ものじゃなくてスクール通っていきなりプロ志向っていうのも意外性があるし、スポーツものとしてのヒロインの絡め方もすごく意外性がある。
40巻以上の長期連載なのにダレる部分が全くないのも恐ろしい。きちんと主人公が前に進んでいると感じられるのがその要因だろう。プロになるという明確な目標に加え、この大会で結果を残せなければプロになれない!といったリミットを設けて必死で勝つ方法を考えているから意味のない試合が生まれにくいのだ。
ただ、上記の意外性の部分は読み手によっては好みが分かれるかもしれない。
極めてリアル路線なのでいわゆる必殺技的なものはなく、主人公の一番の武器がデータ処理とメンタルなので絵的にはどうしても地味になりがち。
個人競技なのでチームスポーツの熱さ・団結・高揚感みたいなものも少ないし、スポーツものとしては文字が多めかも。試合描写ではカット割の工夫もあってスピード感は出ているが、描線が細いので“凄み”が足りない。
スピード感はバッチリ(てかウマすぎ…新人じゃねぇ)。スッキリめの絵柄は強みでも弱みでもある。
あとエーちゃんがメンタル超人のうえコミュ力高すぎて感情移入できない、ナッちゃんとあっさり付き合って幸せそうでムカつく、タクマが可愛そうすぎる、えーちゃん世代の高校生が強すぎる、など色々あるかもしれない。
それでも、私は今のマガジンで1・2を争うくらいこの漫画が好きだ。
『はじめの一歩』もだいたい60巻くらいまでは面白かったので、個人的にはそれを超えてほしい。
いやー、やっぱりスポーツものならマガジンが一番だね!
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