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【翁の漫画評】善悪の屑 渡邉ダイスケ 64点

タイトル:善悪の屑

作者:渡邉ダイスケ

連載期間:2014~2016年 完結(全5巻)

評価点:64点

あらすじ(公式引用):

過去を背負った2人の男が担うのは「復讐の代行」。屑には屑による制裁を!「正義」の意味を問う問題作!

 

 スマホブラウジングしていると、アフィリエイト広告でアホほど出てくるので読んでやった作品。ヤングキングで連載していたらしい。

内容的には復讐代行をテーマにしたアンチヒーローもので、毒を毒で制す型の勧善懲悪カタルシス発生装置みたいな設定。

恐らくは実在の事件をモチーフにしたであろう殺人事件などの犯人に対し、被害者遺族からの依頼で主人公2人が制裁を加えるというものだ。

だいたい1事件2~3話くらいで、前半に犯人のクズっぷりと被害者の怒り、悲しみが描かれ、後半に主人公たちによる拷問めいた私刑の様子が描かれる、というパターン。

なんというか、設定以上でも以下でもない読み応えという感じだった。

 

古来より“復讐”というテーマは、漫画に限らずあらゆるジャンルにおいて強烈に共感を呼ぶ題材として、“恋愛”とか“友情”とかと同じくらいのレベルで物語られてきた。

2013年の流行語にもなった半沢直樹の名言は「倍返しだ!」だが、この作品は、せいぜい0.5~1.2倍返しくらいかな。個人的には少々物足りなく感じた。

だいたい、2人殺してる犯人は4回殺さないと倍返しにならないわけで、そうすると描写もそうとうエゲツないことになるわけだけど、そこまでしてる感じじゃない。

それに、結局“復讐”って連鎖が起きるから悲劇が繰り返されやすいわけで、私刑を正当化するならばそこを描かないと片手落ちという感じがしてしまう。

主人公たちの過去や内面についてほのめかすシーンもあったが、もう少し掘り下げていけば単なる水戸黄門で終わらせない道もあったと思う。

現在『外道の歌』とタイトルを変えて第二部を連載しているそうなので、これからを期待したい。

 

それにしてもこの作品、電子書籍でなく現物で手に入れようとすると、amazonにも無いし、書店も軒並み品薄のようだ。やはり、これがネット広告の威力なのだろうか。

この作品以外にもいくつか広告で目にする作品はあるが、それらがどれくらい売れているかによっては、色々考えを改めなければならないかもしれない…。